2008.09.06(Sat)
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2006.12.15(Fri)
彼は哀愁を秘めると言うのか、何か特別な感情を込めた風に我々を見つめた。 だが次の瞬間、それは弟妹を見るような暖かいものに変わり口元に笑みを浮かべる。 「君達は兵学校の生徒さんだね。」 男の目線は村瀬の手中の書物に行く。 「葉隠か………。」 かつて愛読した葉隠の一説が風が通り過ぎるようにふっと男の頭の中によぎった。 我人 生クル方ガ好キナリ。多分好きノ方ニ理が附クベシ。 若シ図ニ外レテ生キタナラ腰抜ケナリ。コノ境危キナリ。 図ニ外レテ死ニタラバ 犬死気違ヒナリ。恥ニハナラズ。 コレガ武道ニ丈夫ナリ。 「60年後の世にもそのような武人的訓示が残っていて欲しいものだ…。」 そう言い残すと男はくるりと背を向けて立ち去ろうとした。 「待ってください、貴方はあの軍艦にお乗りになった事があるのであるのではありませんか。」 村瀬生徒はこの男を引きとめた。 先ほどから、謎の軍艦とそのオーラの匂わせた妙な男の関係がどうしても気になるのだ。 【60年後〜】などと言う言動は常人ではないのと同時に、只者ではないような感がする。 「あぁ…乗った事があるさ、君も乗って見るかね。」 少年のような村瀬の表情に優しく笑みを浮かべた謎の男は 古鷹山の森林の中へ消えていったのだった。
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